今西酒造は「三諸杉」と「みむろ杉」という、漢字とひらがな2種類の<みむろすぎ>を醸す酒蔵だ。「三諸杉」は地元、「みむろ杉」は全国に流通させている。創業は1660(万治3)年。三輪山をご神体として祀(まつ)る三輪明神 大神神社から蔵までは1キロ足らず。
三輪山は古来、三諸山(みむろやま)と呼ばれ、「うま酒みむろの山」と称されてきた。「みむろ(実醪)」とは「酒のもと」の意味でもある。<みむろすぎ>の味わいは酒好きの間で評判となり、いまや入荷待ちが出るほどの人気銘柄だ。しかし、この繁盛ぶりからは想像しにくいが、この蔵は一時は深刻な経営危機に直面していた。
蔵を継いで第十四代蔵主となったばかりの今西将之さんが、真っ先に直面したのは膨大な債務超過。「もう人生終わったな、くらい絶望の淵だった」というどん底からの起死回生。今でこそ当時のことを冗談めかして語るが、蔵主を継いでから今に至る15年の歩みを伺えば、それは奇跡の復活と呼んでも大げさではないことが分かる。
今西さんは大学時代を京都で過ごし、就職先は東京。いずれ三輪に戻り、家業を継ぐことは幼い頃から決めていたという。
今西
「親父が楽しそうに仕事をしているのを見ていて、いいなと。また、近所のおばちゃんらに“跡取りさん”と呼ばれて育ったことなど、自然と自分が継ぐものだと思ってました。継ぐまでは、酒業界に関係なくいろいろな人とつながりを持てる人になりたいと思い、東京で就職。30歳で家に戻れば親父は60歳。10年かけて引き継ぎをしていければいいかなと」











































